January 12, 2006

太宰府散策

東風(こち)吹かば
にほひおこせよ 梅の花
主なしとて 春な忘れそ

小学3年生の時、百人一首の詩の中で一番得意だったのが、この詩である。
その詩の背景には太宰府と縁深い平安人がいる。

勉強の神様=菅原道真(すがわらのみちざね)というのはご存知の方も多いだろう。
藤原平安時代の右大臣であったが、あまりに賢かった彼を危惧した藤原時平により左遷され太宰府の地へ。そしてそのまま京へ戻ることなく、太宰府の地で生涯を閉じた人物である。
また人望の厚かった道真公を物語るものとして、京を去った道真公を寂しがる故に自宅の庭にあった「梅の木」が太宰府まで飛来してきた…という話は有名である。それが「飛梅伝説」として今でも語り継がれ、その梅の木は境内のすぐ側に立っている。



実は、太宰府天満宮にはオフィシャルサイトが英語・中国語・韓国語でも用意されている。
そして道真公や飛梅伝説についても素敵なイラストで紹介されているので、ぜひのぞいてみてはいかがだろう。

太宰府天満宮/Dazaifu Tenmangu:http://www.dazaifutenmangu.or.jp




毎年、受験を控えた人やその家族は合格を祈願しに太宰府天満宮へやってくる。そして、ほとんどの絵馬に「受験合格」の祈りが込められている。



2005年10月、九州国立博物館が太宰府天満宮横にオープンした。実は天満宮と博物館は幻想的な空間でつながっている。この通路には長い直線のエスカレーターが通っており、空間を演出する色が7変化するのである。
この空間がバーになったらお洒落だな…と思ったのは私だけだろうか。
Link:
九州国立博物館/Kyushu National Museum : www.kyuhaku.com


光明禅寺は人だかりの天満宮への道をちょっと入り込んだところにある。
この周辺はまた一段と趣を感じる地域である。

この禅寺、非常に庭が美しい。
よく手入れされた庭は、寒い冬であることさえも忘れさせてくれるほど苔の緑が輝き、石庭の白さが映える。そして、寺のすぐ側には小高い丘があるため、この庭の立体感が一層引き立つ。
こうした苔庭の美しい禅寺が近くにあるとは知らなかったことを今更ながら恥ずかしく思う。





この他にも「源氏物語」に登場する「観世音寺」、「太宰府政庁跡地」、奈良の薬師寺と並ぶ「戒壇院」(国の重要文化財である『盧舎那仏(るしゃなぶつ)』を本尊とする)禅寺など、数多くの歴史に触れることができるのが太宰府である。

さて、その太宰府の名物といえば「梅が枝もち」である。「梅」が道真公の飛梅伝説から来ていることはすでに申し上げたが、名物にもやはり「梅」のマークが入っている。
外はパリッと、でも餅はモチモチ。そして中の小豆はほんのり甘い…。1つ食べたら止まりませんよ…。


"caldo, caldo!"



上の写真、帰りの西鉄電車の車内で撮影したもの。兄弟がおばあちゃんに見送られ、福岡まで自分たちだけで帰っていた。太宰府の駅ではおばあちゃんが心配そうに最後まで二人を見届けていた。お兄ちゃんは「こんなのへっちゃら…」という顔なのだが、弟は「僕たちだけで帰れるのかな…あぁどうしよう…」と終始不安げだった。
その様子を見ていて、初めて私と弟の二人で祖父母の暮らす街と福岡を往復したことを思い出した。
何才のことだったか覚えていないが、3才年下のやんちゃな弟をしっかり支えて辿り着かなくちゃ!という責任感を感じていたことだけは覚えている。
今となっては海を越え、山を越え、何処にでも行ってしまうが、幼い頃の私たちの世界はおそらく半径1km以内だったに違いない…。



No comments: